小さな子供を車に乗せる場合、チャイルドシートの着用が義務付けられています。これは、2000年4月の道路交通法の改正によって、義務化されたからですね。でも、いまだに着用率が6割程度しかなく、チャイルドシートを使っていない人が多いのが現状です。
また、使っている人であっても、付け方を間違っている人が6割程度いるとされているので、チャイルドシートを活用できている人が少ないということがよく分かりますね。実際、クルマに合っていないモノや子供の体形に合わないモノを購入している人が多いわけです。
なので、ここでは正しいチャイルドシートの選び方を紹介したいと思います。
目次
チャイルドシートの種類について
チャイルドシートは、6歳まで着用義務が定められています。これを守らなければ、「幼児用補助装置使用義務違反」となり、1点の減点という罰則があります。子供の安全のためですから、ちゃんと使用してください。
そして、子供の成長は早いですから、年齢に合わせてシートを買い替える必要性も出てきます。子供の体格に合わないシートだと、事故の際に身を守ることができませんから注意しましょう。
チャイルドシートの種類については、以下の通りです。
専用タイプ:子供の発達段階に合わせたもの
乳児用ベビーシート(新生児~1歳) | 首が据わっていないので寝かせるタイプ |
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幼児用チャイルドシート(1~4歳) | 前向きに座った状態で固定するタイプ |
学童用ジュニアシート(4~10歳) | お尻の下において座面を上げて固定するタイプ |
専用タイプは子供の年齢や体格に合ったものなので、安全性が非常に高いです。しっかりとホールドできますから、万が一の時期の際にも安心でしょう。ただ、使用できる期間が限られるので、買い替えないといけません。
兼用タイプ:複数の発達段階に渡って使用できるもの
乳児・幼児兼用シート | 1歳未満ではベッドタイプにし、1歳からは座って使用する |
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幼児・学童兼用シート | 乳児期は座って使用し、それ以降は座面をシートベルトで固定する |
乳児・幼児・学童兼用シート | すべての時期をカバーできるタイプ |
兼用タイプだと長く使用できるので、経済的な負担を和らげることができます。ただ、発達段階によって固定方法が異なり、間違った使用方法を行ってしまうかもしれません。また、かなりの重量があるので、取り付けが大変というデメリットもありますね。
メーカーによっても微妙に仕様が異なる可能性があるので、お店で実物を見ながら選択すると良いでしょう。
チャイルドシート選びの5つのコツ
安全基準マークを確認する
チャイルドシートの安全基準である「ECE規則44号」というものがあります。これはヨーロッパの安全基準として、日本でも認められているものです。以前は日本独自の基準がありましたが、2012年7月以降に日本でも採用されました。
非常に重要なマークですから、これに適合している商品を買うようにしてください。基準を満たしたチャイルドシートには、以下のオレンジのマークが付いているはずです。なので、必ず確認しましょう。
また、「チャイルドシートアセスメント」の結果を見ることも大切です。これは、国土交通省と自動車事故対策機構による「前面衝突試験」と「使用性評価試験」において、安全性能の評価としてランク付けされたものです。
- 前面衝突試験
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時速55kmでの衝突時に、頭部や胸に与える影響を評価したもの。「優」、「良」、「普通」、「推奨せず」の4段階。
- 使用性評価試験
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チャイルドシートの使いやすさを評価したもの。「取扱説明書等の記載内容」「本体表示内容」「機構の性能」「座席への取付け」「着座性」を、それぞれ5点満点で評価。
クルマに合っているか
気に入ったシートがあっても、それが車に固定できなければ意味がありません。なので、取り付け可能なのかどうか、よく確認することが大切ですね。チャイルドシート売り場には、必ずクルマの適合表が置いてあります。
なので、これをチェックして、自分のクルマに合うかどうかを調べるようにしてください。また、メーカーホームページにも、適合車種が記載されています。必ずチェックをしましょう。よく分からなければ、店員さんに聞くことをおススメします。
それに加えて、設置のしやすさも確認しないといけません。複雑な構造になっているものだと、間違った取り付けをしてしまう可能性があります。それだと、事故の時にショックを吸収できませんから、簡単に取り付けできる必要がありますね。
パパとママのどちらでも扱いやすいシートだと、安心して利用できるでしょう。
子供の体に合っているか
子供は、成長に従って体格が変わっていきます。新生児、乳児、幼児、児童など、それぞれの時期に合ったシートを選択するようにしましょう。体格に合っていないモノだと、事故に遭った時に十分な性能が期待できません。
先述の通り、子供の成長過程に応じて、いろいろなタイプのチャイルドシートがあります。なので、子供の体にフィットしているかを常に確認しておいてください。
よくある間違いとして、年齢でシートを決めてしまうということがありますね。それぞれのシートには、対象年齢が記載されています。だから、疑いもせずに使用することが多いでしょう。
しかし、チャイルドシートの対象年齢は、一般平均の体格で設計されています。そのため、平均よりも体が小さかったり大きかったりした場合には、シートが上手くフィットしないことがあるわけです。
年齢ではなくて、子供大きさに合わせてシートを選ぶことが大切ですね。
乗せやすいかどうか
チャイルドシートは意外と大きいので、車内スペースが狭くなってしまいます。ミニバンなどの車高が高い車なら良いですが、軽自動車やセダンだと窮屈で大変です。子供を乗せる時にも苦労しますから、乗せやすさも重要視してください。
少し高いシートだと、座面が回転してドアの方へ向けることができたりします。他にも、ベルトの着脱のしやすさやシートの高さなどもチェックするべきでしょう。スムーズに子供を乗せることができるかどうか、十分に検討してくださいね。
洗いやすいかどうか
子供が座る場所ですから、いつもキレイにしておかなくてはいけません。小さな子供だとよだれや汗などで、すぐにシートが汚れてしまいます。だから、汚れた時にも洗えるように、クッションやカバーが取り外せるものを選んでください。
雑菌が繁殖すると感染症の原因となったりするので、これはかなり重要なポイントです。カバーを交換できるものにすれば、ミルクやお菓子などをこぼしてしまった時にも安心ですね。
チャイルドシートの人気メーカー
子供の安全を守るチャイルドシートですから、信頼できるメーカーのものを使用したいですよね。安いからといって変なメーカーのものを購入すると、後で取り返しのつかないことになりかねません。
ただ、初めてチャイルドシートを購入する人にとっては、どのメーカーが良いのか分からないと思います。そこで、国内で人気のメーカーをまとめてみましたので、参考にしてみてください。
- Combi(コンビ)
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チャイルドシート業界では、おなじみのメーカーですね。老舗の国内メーカーですから、安心して利用することができます。アメリカにも進出しているので、世界的にも非常に人気が高いです。
- Aprica(アップリカ)
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コンビと並んで、ベビー用品の2大メーカーです。「赤ちゃん医学」「育児工学」を基にして設計されたシートなので、赤ちゃんも快適に座ることができます。その快適性の高さから、「Baby 1st class」と呼ばれています。
- Pigeon(ピジョン)
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ベビー用品を扱う日本のメーカーで、哺乳瓶のトップブランドです。社名の由来は「鳩」を意味する言葉で、平和な社会にしたいという意味が込められています。
- GRACO(グレコ)
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アメリカのベビー用品メーカであり、世界80か国以上で展開されています。60年以上の歴史があるので、海外でも非常に人気が高いですね。
注意点としては、中古品は使わないということです。チャイルドシートは、安いものでも数万円する高価なものです。でも、だからといって安い中古品に手を出してしまうと、十分な機能を発揮してくれない場合があります。
そもそも、クルマの中は高温になりやすいですから、プラスチックなどの部品が劣化している可能性があります。また、事故歴などがあったら、内部のクッションが損傷していることもあるので、本来の機能が得られなくなります。なので、中古品の購入は控えた方が良いですね。
チャイルドシート着用の義務が免除されるとき
先述の通り、6歳未満の子供を車に乗せる時には、チャイルドシートの使用が義務付けられています。これを怠ってしまうと、「幼児用補助装置使用義務違反」で1点の減点となるわけです。
しかし、ある基準を満たすことで、チャイルドシートの使用義務はなくなります。それは、以下の状況の時ですね。
- 車の構造としてチャイルドシートを固定できないとき
- 複数人で車に乗るときに、チャイルドシートがあると全員が乗れないとき
- 子供の怪我や病気などで、チャイルドシートに座れないとき
- 著しい肥満などの身体的特徴により、チャイルドシートに座れないとき
- バスやタクシーなどに乗るとき
- 子供を救急搬送させるとき
これらに該当する場合には、チャイルドシートの義務はありません。やむを得ない事情があれば、免除されるということですね。
ただ、基本的には必要なものですから、小さな子供がいるのならチャイルドシートは必ず使用しましょう。
以上、チャイルドシートの選び方について紹介しました。
これらの知識があれば、チャイルドシートを購入するときにも明確な基準を持つことができるはずです。万が一の事故の時以外にも、子供が快適に乗車するために欠かせないものです。なので、最適なものを選べるようにしてください。