新車を購入するときに、新古車を検討する人はかなり多いです。新古車とは、新車登録だけをして、未使用のままで置いてあるクルマのことを指します。見た目は新車同様のキレイな状態ですが、登録しているので中古車の扱いとなるわけです。
メーカーによる見込み生産の余りやディーラーのノルマ達成のための自社購入など、様々な事情で一般流通しなかった車が新古車として販売されています。
格安で車が手に入るために、一部の層からは人気が高まっているようです。ただし、少なからずデメリットもあるので、失敗することの無いように知識を付けておいてください。
目次
新古車(未使用車)が存在する理由とは?
先述の通り、新古車とは新車登録が済んでいるが、事情があって販売されなかった車のことを指します。正確には、「未使用車」という名称で、中古車店や専門店などで販売されていますね。
ちなみに、「新古車」という名称は、新車と誤解される恐れがるために、業者間では使用されていません。なので、店舗に問い合わせる際には、「未使用車を探しているのですが」と尋ねると良いでしょう。
なぜ、新古車が存在するのかというと、次のような理由があるからです。
- メーカーの見込み生産による余り
- ディーラーの報酬獲得のための自社購入
- メーカーからの圧力によるディーラーの自社購入
メーカーの見込み生産による余り
自動車は受注生産ですので、顧客からの注文を受けてから生産が始まるのが原則です。しかし、少しでも納期を短縮するために、自動車メーカーでは販売台数を予測して生産を開始しています。
ある程度の在庫を確保しておけば、すぐに納車することができますよね。工場の稼働率もアップさせられますから、その方が効率が良いわけです。
しかし、その販売予測が外れてしまうと、在庫が余ってしまうことになります。そのまま置いていても仕方ないので、未使用車として中古市場へ流すということです。
ディーラーの報酬獲得のための自社購入
ディーラーは、販売実績に応じて自動車メーカーから販売奨励金という報酬を受け取っています。1台ごとにマージンが決まっており、販売台数×マージンがもらえる仕組みとなっているわけです。
そして、このマージンは販売台数に応じてアップするため、ディーラーが多くのマージン報酬を得るために自社で車を購入することがあります。
たとえば、通常は1台当たり5万円の報酬であっても、100台以上販売すれば1台当たり7万円にアップしたりするんですね。今月までに98台販売しているのなら、自社であと2台購入してしまおうという判断になるわけです。
その2台は新古車として安く販売しても、ディーラーとしては得られる利益が多くなります。
メーカーからの圧力によるディーラーの自社購入
自動車メーカーは、新車の販売台数に対してかなりシビアになっています。日本自動車販売協会連合会によって毎月の新車販売台数が公開されていますから、それで業績が分かってしまうからです。
なので、できるだけ多くの台数を販売できるように、全国のディーラーに対して圧力をかけています。「もっと売れ!もっと売れ!」と、発破をかけているわけですね。
ですから、販売目標を達成できないディーラーは、やむを得ず自社で購入する羽目になります。上記の販売奨励金にも関わってくる部分なので、ディーラーとしては自社購入して販売数を水増しするしかありません。
そこでの車両が、新古車として市場に出回っています。
新古車(未使用車)のメリット・デメリット
メリット
- 新車よりも価格が安い
- 車検の負担がない
- すぐに納車してもらえる
新古車の一番のメリットとしては、やはり「価格が安い」ことが挙げられます。中古車扱いとなるので、新車よりも車両価格が10%ほど安いことが多いです。また、登録時に車検も通してありますから、初回の重量税なども発生しません。
さらに、すでに在庫として保管されているので、契約してすぐに納車してもらうことができますね。名義変更の手続きだけで納車できますから、早ければ1週間程度で手に入ります。
新車だと注文から数ヶ月かかることもあるので、少しでも早くクルマが必要な人には新古車はおススメだといえるでしょう。
デメリット
- 新車よりも車検が短い
- オプションやボディカラーなどが選択できない
- 諸費用が高いことがある
既に登録済みのクルマですから、在庫期間の間も車検の日数は経過していきます。つまり、6ヶ月間保管されている車体であれば、車検の残りは2年6ヶ月しかないということになります。
また、メーカーオプションやボディカラーの選択はできません。工場から出荷された後ですから、仕様を変更することができないわけです。欲しい色が決まっているのなら、その色の未使用車を探す必要がありますね。
ただし、ディーラーオプションであれば、後から追加することができます。ディーラーから発注することができるパーツもありますから、商談の際にチェックしてみると良いでしょう。
要注意なのが、諸経費についてですね。新古車は利益が少なくなりますから、それを補うために諸経費を余分に請求する業者は少なくありません。新車よりも割高な金額になっていたり、よく分からない費用を請求されることがあります。
色々な費用を計上されて、結局は新車を買うよりも高くなってしまうこともあります。車両本体価格が安いからといって、得になるとは限らないわけですね。これは、十分に気を付けるようにしましょう。
なので、見積もりを出してもらった際に、諸費用の内訳についてはちゃんと説明してもらうようにしてください。
新古車(未使用車)をお得に購入する方法
ディーラーで新車の見積りを取って比較する
新古車を購入する場合でも、新車の見積もりは取っておきましょう。トータルで考えた場合、どちらが安くなるかは分かりません。ディーラーで交渉すると値引きを受けられますから、もしかすると新古車よりも安く買える場合もあります。
よくあるのが、型落ちの新古車が割高で販売されているケースです。ある車種がフルモデルチェンジされると、前の型式の在庫が新古車として中古市場に出回ることになります。
型落ちになると価値が一気に低下するので、新古車であっても割高になることがあるんですね。
また、最近は「新古車=安い」というイメージが定着しているので、新古車の専門店なども増えてきました。新古車の人気が高まるについて仕入れ価格も高騰していますから、未使用であっても思ったほど値段が下がらないケースがあります。
新車との価格差が数万円しかないこともザラですし、新車の値引きを考えると新古車の方が高くなることも少なくありません。新古車を買えば絶対に特になるとは限らないので、固定観念に縛られないようにしてください。
実際に比較しないと何も分かりませんから、新車の見積りも必ず取るようにしましょう。
不明瞭な諸費用は店員に確認する
悪質な販売店だと、諸費用を割り増しして不当に利益を取ろうとすることがあります。車体の安さに舞い上がっていると、諸費用が割高であることに気付くことができません。
なので、見積りを出してもらった際に、各項目について確認を行ってください。車庫証明などは、自分でやればカットすることができます。他にもカットできる費用が含まれていることがあるので、どんな費用が計上されているのかを把握しておきましょう。
保証が受けられるかを確認する
新車を購入すると、メーカーからの保証期間が付いています。期間内の不具合なら無償で修理してもらえるので、安心して乗ることができますね。
しかし、新古車の場合だと、流通の過程で保証書が無くなっていることがあります。再発行が受けられないこともあるので、購入する際には必ず保証書があるかどうかを確認してください。
特別保証を含めると5年間の保証が受けられるので、これが無いのであれば自費で修理しないといけません。国産車なら大きな故障の可能性は低いですが、せっかく購入するのなら保証がある方が良いに決まっていますよね。
保証書が無いためにディスカウントされている車両もありますから、各自の判断で購入を検討すると良いでしょう。
また、保証書があったとしても、ディーラーにて「保証継承」という手続きをしなくてはいけません。その手続きを代行してもらえるのかも、販売店に確認するべきですね。
代行してもらうなら、手数料の金額まで確認してください。自分でやれば1万円前後かかりますが、販売店によっては3~4万円の高額な手数料を取る場合があります。
あまりにも高額な場合には、自分で手続きをやってしまいましょう。ディーラーへ持っていくだけなので、すごく簡単ですよ。
不具合が無いかをチェックする
新古車は登録だけを済ませた新品同様な状態ですが、在庫として長く保管されていた車両です。そのため、保管中に傷などが付いていることがあります。なので、全体を注意深く観察して、車両の状態をチェックしましょう。
室内保管ならいいのですが、屋外で野ざらしにされていた車両なら要注意です。車体の下が錆びていたり、塗装が劣化していることがありますね。
また、見落としがちなのが、バッテリーの劣化についてです。展示車両などはドアの開閉を繰り返しているので、バッテリーが弱っている可能性があります。エンジンの始動や灯火類の点灯状況なども、忘れずに見るようにしましょう。
商談の段階で発見しておかないと、納車後のクレームは受け付けてもらえません。ですから、営業マンと一緒に、車両の不具合のチェックを行ってください。
付属品の欠品がないかどうか
ほとんどの新古車は、フロアマットやドアバイザーなどの付属品が付いていないことが多いです。販売数を稼ぐためのディーラーの自社買いがメインですから、オプションなしの最低グレードが多数を占めるからですね。
こういった付属品は、付いていて当たり前の感覚ですから、商談の段階では確認をしない人が多いです。いざ納車されてから何も付いていなかったということが無いように、事前に確認を行うようにしてください。
付属品はディーラーオプションで追加できますから、商談の際にそれらを含めて見積もりを出してもらいましょう。新車では当たり前の事柄でも、新古車においては通用しないことがあるので覚えておく必要があります。
程度の良い新古車(未使用車)を見つける方法
新古車は一点ものですから、自分が気に入ったカラーやグレードを見つけるのは至難の業です。あれこれ悩んでいるうちに売り切れることもありますし、理想的な新古車を購入するのは意外と難しいと思います。
そこでおススメなのが、「ズバット車販売」というサービスです。これは、自分が希望する条件を登録するだけで、それに該当する車をプロが探してくれます。元々は中古車を探すサービスですが、新古車の検索にも利用可能です。
備考欄に以下のように希望を入力しておけば、理想的な新古車を探してもらえるでしょう。
カラーはホワイトで、グレードは「S C パッケージ 7人乗り」を希望します。
一般には流通していない非公開車両から探してくれるので、良質な新古車を見つけることができますよ。無料で利用することができますから、積極的に使ってみると良いでしょう。
以上、新古車を購入するうえでの注意点を紹介しました。
新古車は車両本体価格が安いですから、何も考えずに飛びついてしまう人が多いです。でも、実際に見積もりを取ってみると、そんなに安くないことはよくあります。
新車の方が安く変える場合も往々にしてありますから、購入の際にはよく考えてから決断してくださいね。