会社組織なら任意保険よりも「自家保険」の方が得になることもある
ツイート運送会社やタクシー会社などは、1社で数十台以上の車を保有していることがあります。そうすると、自動車保険の保険料だけでも、莫大な金額になってしまいますよね。
10台以上ならフリート契約をすることができますが、それでも台数が増えるごとに保険料の負担は増えてしまうでしょう。こういった負担を減らすために、任意保険に加入しない会社も多いです。
では、事故を起こしたときの賠償はどうするのかというと、「自家保険」を利用して対処します。これは、社内で一定額のお金をプールしておき、それを損害賠償の費用に充てるというものですね。
自家保険とは何か?
自家保険とは、社内でお金を積み立てておいて、それを事故が起きた時に使うという体制のことです。任意保険に加入しないで、自力で賠償金を支払うようにする方法となります。
任意保険の保険料というのは、保険金の支払いに充てられる「純保険料」と保険会社の経費や利益となる「付加保険料」で構成されているわけです。なので、付加保険料が乗っている分だけ、余分に保険料を払う羽目になるわけですね。
この分の保険料を節約するために、自家保険という制度が生み出されました。大きな会社組織の場合、任意保険に加入しないほうが節約できる場合が多いです。
以下は、自賠責保険の保険金の支払いデータとなります。
年度 | 事故件数 | 保険金 | 1件当たりの保険金 |
---|---|---|---|
平成22年 | 1,141,798件 | 7,950億円 | 約69万円 |
平成23年 | 1,160,313件 | 8,054億円 | 約69万円 |
平成24年 | 1,158,839件 | 7,999億円 | 約69万円 |
平成25年 | 1,189,459件 | 8,074億円 | 約68万円 |
平成26年 | 1,158,574件 | 7,962億円 | 約69万円 |
傷害や死亡などをすべて含めても、1件当たりの保険金は70万円程度となっているわけです。自賠責保険の上限は傷害で120万円、死亡で3,000万円なので、任意保険を使う機会はほとんどないわけですね。
対物事故なら自賠責保険は使えませんが、ドライバーの怪我は労災保険を使用することができます。
こう考えると、任意保険に加入しない方が、大幅に経費を削減することができるということです。なので、保有台数の多い会社では、自家保険にしていることが多くなっています。
自家保険のメリット・デメリット
メリット
自家保険にするメリットとしては、コストの削減が第一ですね。先に述べた通り、任意保険料には「付加保険料」という保険会社の利益が乗っているので、それを無くすことでコストの削減につながります。
また、キャッシュフローの改善も見込めますね。任意保険は先払いとなっています、将来のリスクの賠償を前倒しで支払っているということですね。これだと、手元の現金が少なくなってしまうので、経営に影響を及ぼすかもしれません。
自家保険だと現金は手元にありますから、いざという時にはプール金から費用を捻出することができます。会社の経営においては、キャッシュを残すということは重要な意味を持つでしょう。
デメリット
自家保険には、もちろんデメリットもあります。それは、想定を超える大損害が出た時に、対処できないということですね。お金を積み立てているわけですが、その積立金以上の損害が出てしまうと支払うことができません。
たとえば、死亡事故が連続で起きてしまった場合、数億円の損害賠償が生じる可能性があります。滅多に起きることではありませんが、リスクもあるということは覚えておかなくてはいけません。
個人でも自家保険を利用することはできる
会社組織での自家保険について解説をしましたが、実は個人レベルでも自家保険を利用することはできます。組織内で資金を積み立てるだけなので、複数人が集まれば良いわけです。
実際、分譲マンションなどでは、住人同士で「修繕積立金」を毎月収めたりしています。そうすることで、将来的に建物が老朽化した時に、修繕費用を捻出することができますね。
これと同じように、地域の商店街やサークル内などで、自家保険を作ることが可能です。掛金の設定については、組織内の過去の事故件数や保険金などのデータを集めれば、いくらにすればいいのかは見えてきます。
後は、お金の管理を誰にするかということですね。使途不明金などが発生しないように、しっかりとお金の管理をしないといけません。
任意保険に加入する以外にも選択肢はありますから、コミュニティがあるのなら自家保険を考えてみても良いと思います。