なぜ、等級プロテクト特約は廃止されたのか?
ツイート以前の自動車保険には、「等級プロテクト特約」と呼ばれる特約がありました。これは、事故を起こしても等級が下がらないようにする特約で、非常に人気が高かったものですね。
通常だと事故を起こして保険を使うと、3等級のダウンとなってしまいます。しかし、等級プロテクト特約があれば、翌年も同じ等級をキープできるというメリットがあるわけです。
各保険会社も一押しで販売していたのですが、今ではすべて廃止となってしまいました。人気商品が無くなってしまったのは何故なのか?その理由を解説していきます。
等級プロテクト特約とは何か?
自動車保険では、交通事故を起こして保険を使うと翌年の等級が3つも下がってしまいます。すると、翌年以降の保険料が高くなってしまうわけですね。
ちなみに、20等級の人が17等級に下がると、割引率は10%も下がってしまいます。つまり、保険料が10%の値上げになってしまうということです。
そのため、軽い事故の場合だと保険を使わずに自分で修理した方が、トータルで安くなるという状態がありました。
しかし、それだと保険に加入する意味が薄れるので、「等級プロテクト特約」が発売されるようになります。等級プロテクトとは、年に1度までは事故を起こしても、等級が下がらないようになるという特約です。
たとえば、15等級で事故を起こして保険を使っても、翌年も15等級をキープできるということですね。ただ、年に2回以上の事故を起こすと、2回目以降は等級ダウンの対象となってしまいます。
契約者からすると等級を維持することができるので、保険を気軽に使うことができるようになりました。なので、爆発的な人気となり、契約者の多くが等級プロテクト特約を付帯していましたね。
2012年に等級プロテクト特約の廃止が決定
人気の高かった特約なのですが、現在ではすべての損保会社で取り扱いが停止されています。その理由としては、2012年に自動車保険の等級制度が改定されたことが大きな要因です。
これにより、事故有係数という割引率が導入されて、事故を起こしたドライバーは通常よりも低い割引率が適用されるようになりました。同じ等級であっても、事故有と無事故では割引率が異なるという制度です。
それと同時に、車両保険の等級据え置き事故も廃止され、1等級ダウンとしてカウントされることになります。なので、「等級を据え置く」という概念が無くなることで、等級プロテクト特約が存在できなくなりました。
また、保険会社の収支が悪化していたという事情もありますね。等級プロテクト特約のおかげで、軽い事故でも保険金が請求されるようになりました。そのため、保険会社の支出が増えることになり、採算が合わなくなってきたわけです。
保険会社も営利目的なので、利益を追求しなくてはいけません。だから、保険金の支払いを減らすために、等級プロテクト特約を廃止したということですね。
保険は慎重に使おう
事故有係数が導入されたことで、ますます保険が使いにくくなってしまいました。事故を起こして保険金を請求すると、翌年から3等級ダウンして事故有係数が適用されます。
仮に、15等級で事故を起こしたとすると、12等級(事故有)となってしまうわけです。割引率としては、51%から27%のダウンとなってしまいます。つまり、保険料が24%も値上げされてしまうということですね。
事故有係数は3年間の適用となるので、事故なしで16等級に上がった場合と比べると、4年間の差が生まれることになります。保険料の差額としては数万円以上になりますので、保険金の請求は慎重に考えなくてはいけません。