ダイレクト型の自動車保険のシェアが伸びている理由とは?
ツイートテレビを付けると、毎日のように自動車保険のコマーシャルを目にすると思います。ソニー損保やアクサダイレクト、チューリッヒなどが有名ですよね。「保険料は走る分だけ」というキャッチフレーズでお馴染みでしょう。
これらの自動車保険は、ダイレクト型(通販型)と呼ばれています。ディーラーや中古車販売店などで加入する「代理店型」に対して、電話やネットで申込するタイプを「ダイレクト型」と呼ぶわけです。
最近、ダイレクト型の自動車保険は、ものすごいペースで加入者を増やしています。ここでは、損保業界の動向について解説をしていきます。
損保業界の市場規模について
まずは、損保業界全体の市場規模について知っておきましょう。
平成25年度の保険収入は、全体で7兆7,712億8千万円となっています。これは、自動車保険のほか、火災保険や海上保険、傷害保険なども含まれます。
その内、自動車保険の収入は、4兆7,614億円にも上るわけです。その内訳として、任意保険が3兆7,648億円、自賠責保険が9,966億円となっています。
保険種目 | 正味収入保険料 |
---|---|
自動車保険 | 3兆7648億円 |
自賠責保険 | 9966億円 |
自動車保険合計 | 4兆7614億円 |
自動車保険 火災、海上保険など全合計 | 7兆7712億円 |
引用:価格.com
損保業界の売り上げの60%以上を自動車保険が占めているわけですから、相当な比率だということが分かりますね。
そして、任意保険のシェアを見てみると、大多数は代理店型となっています。
- MS&ADインシュアランスグループホールディングス:1兆2672億円
- 損保ジャパン日本興亜ホールディングス:1兆696億円
- 東京海上ホールディングス:9330億円
大手の3大メガ損保だけで、任意保険の約87%のシェアを取っているわけです。残りの13%(4950億円)は、中小の代理店型とダイレクト型で分け合っています。
ダイレクト型の自動車保険の業界シェアは、約6.6%しかありません。こうやって見てみると、ダイレクト型のシェアの少なさがよく分かりますよね。
ただ、近年の成長率は目覚ましいものがあるので、少しずつシェアを拡大しています。
右肩上がりのダイレクト自動車保険
まだまだシェアの少ないダイレクト型ですが、成長率で考えると相当な数字を記録しています。
2015年度の第一四半期決算によると、ダイレクト型の保険会社9社のうち7社が前年度を上回りました。特に、アクサダイレクトやSBI損保、セゾン自動車やイーデザイン損保に関しては、2ケタ成長となっています。
正味収入保険料 | 前年同期比 | |
---|---|---|
ソニー損保 | 217億9,300万円 | 104.4% |
アクサダイレクト | 102億5,600万円 | 119.2% |
チューリッヒ | 92億3,400万円 | 105.7% |
三井ダイレクト損保 | 90億2,100万円 | 106.2% |
SBI損保 | 74億7,300万円 | 113.8% |
セゾン自動車火災 | 69億3,800万円 | 137.9% |
イーデザイン損保 | 49億2,800万円 | 118.0% |
そんぽ24 | 34億9,800万円 | 99.9% |
アメリカンホーム | 4億5,400万円 | 90.9% |
引用:保険スクエアbang
代理店型の自動車保険も伸びていますが、すべて1ケタ成長に留まっています。大多数のシェアを獲得しているので、今後の伸びしろは少ないと言えるでしょう。
ダイレクト型はシェアが少ない分、まだまだ伸ばせる余地は残っているわけです。
ダイレクト型が支持される理由とは?
なぜ、ダイレクト型自動車保険がシェアを拡大しているのかというと、「保険料の安さ」が大きな理由の一つですね。代理店型と比べても3〜4割ほど安いですし、場合によっては半額以下になることもあります。
不景気で家計の節約を考える世帯が増えているので、ダイレクト型に切り替える人が多いということでしょう。
保険料が安い理由としては、徹底したコストカットがありますね。申し込みを電話とインターネットに絞っているので、代理店への手数料などが掛かりません。他にも、パンフレットの簡素化や人件費の削減など、色々な部分でコストを減らしているわけです。
こういった理由から、格安で自動車保険に加入できるということですね。
ただ、代理店型と比較すると、サービス内容も簡素になっていることがあるので注意が必要でしょう。たとえば、車庫入れで車をぶつけたなどの軽い事故の場合には、担当者と電話でのやり取りとなります。
代理店型であれば、現場まで担当者が来てくれることが多いので、その辺のサポート体制には差がありますね。他にも、事故で保険金を請求するときには、自分で書類を作成するなどの手間がかかってしまいます。
きめ細やかなサポートという点では、代理店型の方に軍配が上がりますね。
しかし、保険料の安さにメリットを感じる人は多いはずです。なので、今後しばらくは、ダイレクト型自動車保険のシェアは伸び続けるでしょう。