車両保険とは何か?自分の車の損害を補償してくれる保険
ツイート車両保険とは、自分の車への損害を補償してくれる保険です。事故による破損はもちろん、自然災害やイタズラ、盗難などについても補償してくれます。
自動車保険の3つのタイプのうち、「賠償責任保険」と「傷害保険」に続くのが「車両保険」ということです。自分の車に何らかの損失があった時に、その修理代や再購入費が補償されます。
実際に補償が得られるのは、以下のようなケースですね。
- 当て逃げされて相手が分からない。
- 脇見運転でガードレールに衝突した。
- 何者かに10円傷を付けられた。
- 車が盗難された。
- 洪水によって車が水没した。
このように、自損事故や不慮の事故などの損害でも補償されるので、車を大切にしたい人は加入しておくとメリットがあります。
しかし、保険料が高額になりやすいですから、加入しない人も多い保険ですね。なので、よく考えてから、加入を決めるようにしましょう。
車両保険の種類について
車両保険には4つのタイプがあり、それぞれに補償される範囲が異なります。自分に必要なものだけを選択すれば、保険料を安くすることもできますよ。
一般車両保険
車同士の事故や自損事故、自然災害や盗難など、あらゆる損害に対して補償を受けることができます。車両保険の中で最高ランクの補償範囲がありますが、それだけ保険料が割高となるので注意が必要です。
よほどの高級車でない限り、この保険を掛ける人は少ないでしょう。高級外車やスポーツカーなどに乗っている人は、加入を検討しても良いかもしれません。
エコノミー
エコノミーは、車同士の事故にのみ車両の修理代が補償されるタイプです。だから、自損事故や自然災害、盗難などは、補償されません。また、当て逃げも補償の対象外となるので、覚えておきましょう。
補償範囲が限定されるので、それだけ支払う保険料を安くすることができます。
やはり、車同士の事故が最も修理代が高くなりがちですから、エコノミータイプの車両保険には入っておいて損は無いですね。
また、事故相手が任意保険に未加入だった場合、車の修理代については一切の補償を受けることができません。自賠責保険では対物賠償が無いですから、車両保険に入っておくと安心できますね。
限定A
限定Aとは、イタズラや自然災害、盗難などにのみ補償されるタイプです。なので、自損事故や車同士の事故、当て逃げなどへの補償はありません。ちょうど、エコノミーと補償範囲が逆になるタイプですね。
こちらは、主に盗難対策を目的として加入する人が多いです。イタズラや自然災害などは、そんなに頻度が多いものではありませんよね。
高級セダンやハイエース、ランドクルーザーなど、盗難率の高い車に乗っているなら加入を検討しても良いかもしれません。
エコノミー+限定A
その名の通り、「エコノミー」と「限定A」を組み合わせたタイプです。車同士の事故や自然災害、盗難やイタズラなどの補償が付いています。自損事故と当て逃げ以外は、すべて補償されるタイプですね。
かなり補償範囲が広くなりますが、一般車両保険よりも割安となります。
実際、このタイプだけで、大抵の事故はカバーできるはずです。だから、車両保険の中では、最も人気があるタイプだと思います。
表にすると、以下のようになります。
一般 | エコノミー | 限定A | エコノミー+限定A | |
---|---|---|---|---|
単独事故 | ○ | - | - | - |
他車との衝突 | ○ | ○ | - | ○ |
当て逃げ | ○ | - | - | - |
台風・洪水 | ○ | - | ○ | ○ |
火災・爆発 | ○ | - | ○ | ○ |
盗難 | ○ | - | ○ | ○ |
いたずら | ○ | - | ○ | ○ |
保険会社によっては、「一般車両保険」と「エコノミー+限定A」しか用意していないこともあります。なので、自分の目的のタイプがあるかどうか、保険会社に確認すると良いでしょう。
設定する保険金額について
賠償責任保険(対人賠償、対物賠償)や傷害保険(搭乗者傷害、人身傷害)などは、契約時に上限の保険金額を設定することができますよね。
しかし、車両保険に関しては、自分で保険金額を決めることができません。
なぜなら、車両よりも高価な保険設定をしても、意味が無いからですね。たとえば、新車価格で200万円の車に、300万円の保険を掛けるのは無駄でしょう。保険金詐欺の原因になる可能性があるので、車両保険の保険金額は自分で決められないわけです。
だから、保険会社によって、車の時価に相当する金額を設定されます。新車価格で200万円の車でも、何年か乗り続けていると価値が下がってきますよね。なので、その車両の相場価格から、必要な保険金を割り出して支払われるということです。
そして、自分が支払う保険料も、車種によって異なります。つまり、部品代や修理費用が高額になる車ほど保険料が高くなるということです。そのため、高級車ほど保険料も高くなりやすいですね。
また、保険会社の方では「車両料率クラス」というものを設定していて、車両ごとに9つのランクに分けて管理しています。そのランクが高いほど、保険料も高額になります。
一例を上げると、以下のようになります。(車両料率クラスは、毎年変わります。)
車両クラス | 車種一例 | 車両料率 |
---|---|---|
1 | ダイハツ・シャレード | 1.0倍 |
2 | トヨタ・IQ | 1.2倍 |
3 | トヨタ・MR2 | 1.4倍 |
4 | ダイハツ・ストーリア | 1.7倍 |
5 | トヨタ・FJクルーザー | 2.0倍 |
6 | レクサス・RX | 2.5倍 |
7 | ベンツ・ML320 | 3.0倍 |
8 | BMW・X6 | 3.6倍 |
9 | ポルシェ・993 | 4.1倍 |
クラス9の車種は、クラス1よりも4倍以上も保険料が高くなる計算です。
高級車に乗っていると保険料が上がりやすいので、保険会社に自分の車種の料率クラスを確認しておいた方が良いでしょう。
免責金額を設定すると保険料を安くできる!
かなり高額になりやすい車両保険ですが、免責金額を設定することで保険料を下げることができます。
免責金額とは、事故の時に自己負担する金額のことです。
たとえば、免責金額を30万円に設定しておけば、100万円の修理代金が掛かった時に、30万円を自己負担して70万円を補償してもらうことになります。
すると、保険会社のリスクが少なくなるので、それだけ保険料を安くしてくれるわけです。
「自腹で負担するのはキツイよ。。。」
と思うかもしれませんが、車同士の事故だと相手の対物賠償保険からも補償が出ます。仮に、相手から20万円の保険金が支払われたなら、自己負担は10万円で済むわけです。
なので、免責金額を設定しても、満額が自腹になることは少ないと言えるでしょう。
免責金額を高くするほど保険料が下がりますから、自分の許容範囲を見極めて設定しておいてください。
車両保険は計画的に使おう
自分の車の損害を補償してくれる便利な保険ですが、使用すると等級が3つも下がってしまいます。元の等級に戻すまでに3年も掛かってしまいますから、その期間の保険料がアップすることになります。
だから、車両保険を使うと、トータルで損をすることがあります。
車の修理代で50万円かかったとしても、翌年以降の保険料を考えると自腹で修理した方が安いかもしれません。なので、しっかりと考えてから、車両保険を使うようにしてください。
また、車両保険というのは、自動車保険の中で最も優先度の低いものです。賠償責任保険(対人賠償、対物賠償)は事故相手を守るものですし、傷害保険(搭乗者傷害、人身傷害)は自分や同乗者を守るためにあります。
それと比べると、自分の車を守るための車両保険は、あまり重要ではないでしょう。絶対に必要な保険ではありませんから、「加入しない」という選択肢もアリだと思います。
ですから、それを踏まえて計画的に考えるようにしましょう。