自賠責保険における請求権の時効とは?

自賠責保険における請求権の時効とは?中断手続きによる時効の延長など

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交通事故を起こすと、自賠責保険や任意保険から保険金を受け取ることになります。対人賠償の基本補償は自賠責保険から支払われ、それ以外は任意保険から補償が出るということですね。

 

しかし、保険金の請求には、3年という時効が定められています。それ以上の時間が経過すると、保険の請求ができなくなるわけです。

 

示談交渉がまとまらなかったり、治療が長引いてしまって損害額が確定しなければ、3年以上かかることもザラにあります。なので、請求までに時間が掛かりそうなら、「中断手続き」をしなくてはいけません。

 

自賠責保険における請求権の時効とは?中断手続きによる時効の延長など

 

自賠責保険の起算点について

 

保険法の第95条により、保険金請求の時効は3年となっています。

 

保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第63条又は第92条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、3年間行わないときは、時効によって消滅する。【強行規定】

 

そして、期間をいつからカウントするのかは状況によって異なります。

 

 

被害者請求の場合

 

被害者から直接請求するときの時効は、以下のようになります。

 

傷害の場合 事故の翌日から3年
後遺障害の場合 症状固定日の翌日から3年
死亡の場合 死亡日の翌日から3年

 

後遺障害の症状固定とは、「それ以上治療しても回復しない状態」を指しています。医師による判断で、症状固定とみなされますね。しかし、裁判になると裁判官の判断によって、症状固定日が変わってしまうことがあるようです。

 

医師の判断よりも前に症状が固定していたと判断されると、それで時効が過ぎてしまうことがあります。なので、後遺障害が残るときには、保険金の請求は早目にやった方が良いでしょう。

 

損害保険料率算出機構により後遺障害等級が認定されれば、すぐに保険金を請求することができます。

 

 

ただし、仮渡金の請求などがあった場合には、その支払日から3年の時効が新たに設定されることになっていますね。仮渡金は示談が成立しなくても支払われますから、早急にお金が必要なら請求しておきましょう。

 

 

加害者請求の場合

 

加害者請求をする場合には単純で、加害者が被害者に賠償金を支払った日から3年が時効となっています。治療費を何回かに渡って支払っている場合には、最終的に支払った日から3年となるでしょう。

 

また、以下のケースがあったときには、その日から3年の時効になります。

 

  • 請求書に不備があり、保険会社から書類を返却された日
  • 保険会社から支払い拒否と回答された日
  • 保険金に不満があり、保険会社に異議申し立てをして返答があった日

 

保険会社でも審査がありますから、思った以上に保険金が支払われないかもしれません。なので、被害者に賠償した証拠となる診療報酬明細書など、書類を完ぺきに用意しておく必要があるでしょう。

 

 

また、示談交渉が長引いて時効が近づいているなら、中断手続きをして時効を延長してもらう必要があります。

 

 

中断手続きで時効を延長する方法

 

治療が長引いて損害額が確定しなかったり、示談が成立しなければ、どんどん時間が経過してしまいます。そのままだと、3年以上たって請求権が消失する可能性があるわけです。

 

そうなる前に、自賠責保険会社に対して中断手続きを取っておきましょう。保険会社によって異なりますが、「時効中断申請書」を提出すれば申請ができるはずです。

 

そして、申請が受理されると、その日から3年の時効が設定されます。時効についてはうっかり忘れてしまいがちですが、ちゃんと頭に入れておきましょう。

 

 

ただ、任意一括請求をしている場合は、自賠責保険の時効は進行しません。なので、被害者請求で早く保険金を受け取りたいなら、一括請求を解除してください。解除した翌日から時効が進行しますので、早目に請求することをおススメします。

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