自動車保険の等級について。保険料を安くするための割引制度
ツイート任意保険の等級とは、保険料の割引率を決めるための指標となります。これは、ノンフリート等級別割引率制度によって定められています。
ノンフリートとは、所有する自動車が9台以下の契約のことです。普通の一般家庭であれば、みんなノンフリート契約となりますね。
一方、法人などで10台以上の契約をするのなら、フリート契約となります。
「自動車保険とは?」でも説明したように、保険会社のリスクが低いほど保険料は安くなる傾向にあります。そして、最も高く割引をするための方法として、等級制度があるわけです。
この等級制度を理解しておけば、最大で半額以上も保険料を安くすることができるでしょう。
かなりお得になりますから、絶対に覚えておいてください。
等級の仕組みについて
等級制度は、1〜20までのランク方式となっています。20等級が最高ランクで、割引率は最大の60%です。一方、1等級が最低ランクとなっており、60%の割増料金となってしまいます。
最初に契約した時は6等級から始まって、1年間無事故で保険を使わなければ翌年に1等級アップする仕組みです。
なので、14年間無事故を継続すれば、20等級になれるということですね。保険会社からすると、無事故運転を継続する人は優良顧客なので、どんどん保険料を割り引いていくわけです。
しかし、交通事故を起こして保険を使ってしまうと、一気に3等級も下がってしまいます。つまり、保険を契約した年に2回以上事故を起こすと、最低の1等級まで下がるということです。
頻繁に事故を起こす人は、保険会社にとってリスクが高いとみなされます。だから、保険料を割り増ししてリスクヘッジしようとするわけです。
ちなみに、自分に過失のない状況で保険を使用すると、1等級ダウンで済むケースもあります。
- 自然災害による車両保険の支払い
- 盗難による車両保険の支払い
- 落書きやイタズラによる車両保険の支払い
これらは、すべて車両保険に関するものですよね。走行中の事故なら運転者に過失があることが多いですが、上記のケースだと全くの無過失となります。そのため、等級のダウンが1つだけに抑えられるわけですね。
ただ、交通事故を起こしても、保険を使わなければ等級が下がることはありません。あくまでも保険を使った回数で判断されるので、気を付けるようにしてください。
そのため、軽い事故なら保険を使わないという人も多いですね。補償が受けられても、保険料が高くなると損をすることがあります。
なので、保険を使う時には、賠償額と保険料を比較して決めるようにしましょう。
事故を起こすと割増料金となる!事故有係数とは?
2014年から、自動車保険では「事故有係数」が導入されることになりました。これは、前年に事故を起こした人に対して、保険料の割引率を下げる制度のことです。事故を起こしていない人には、「無事故係数」という通常の割引率が適用されます。
なので、同じ等級であっても、無事故の人よりも保険料が高くなるわけですね。非常に重要なことですから、知っておくようにしてください。
たとえば、3等級ダウンの事故を起こすと、事故有係数が3年間適用されます。1等級ダウンの事故だと、1年間の適用となります。さらに、事故有係数適用期間中に事故を起こしてしまったら、最長で6年間の延長となってしまうわけです。
1度でも事故を起こしてしまうと、数年間は割増料金となるので非常に厳しいといえますね。
等級ごとの割引率
継続契約の場合
等級 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
割引率(%) | 事故有 | +64 | +28 | +12 | ▲2 | ▲13 | ▲19 | ▲20 | ▲21 | ▲22 | ▲23 |
無事故 | ▲30 | ▲40 | ▲43 | ▲45 |
等級 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
割引率(%) | 事故有 | ▲25 | ▲27 | ▲29 | ▲31 | ▲33 | ▲36 | ▲38 | ▲40 | ▲42 | ▲44 |
無事故 | ▲47 | ▲48 | ▲49 | ▲50 | ▲51 | ▲52 | ▲53 | ▲54 | ▲55 | ▲63 |
(▲は割引、+は割増を示す)
無事故で保険を使わなければ、毎年1等級ずつ上がっていくことになります。無事故のままで20等級まで行くと、最大の63%割引となります。ここまで到達するには長い年月が掛かりますが、事故をしないに越したことはありません。
なので、日頃から安全運転を心掛けるようにしましょう。
新規契約の場合
等級 | 6A | 6B | 6C | 6D | 6E |
---|---|---|---|---|---|
年齢条件 | 年齢問わず | 21歳以上 | 26歳以上 | 30歳以上 | 年齢条件対象外車種 |
割引率(%) | 割増 | - | |||
30 | 10 | 0 | 0 | 0 |
初めて自動車保険に加入すると、6等級から始まります。ただ、同じ6等級であっても、年齢条件によって保険料が異なります。若いほど事故のリスクが高くなるので、保険料が割増しされる傾向にありますね。
車を初めて買う人は20代前半であることが多いので、割増し料金となってしまうかもしれません。等級がアップすれば保険料が下がりますから、最初は我慢しましょう。
等級の引き継ぎ
自動車保険の見直しを行って、保険会社を変更したい場合があるかもしれません。そんな時に気になるのが、等級についてですよね。長年かけて等級をアップさせたのに、それがゼロに戻ってしまうのは納得できないでしょう。
でも、安心してください。保険会社を変更しても、今までの等級を引き継ぐことができます。
たとえば、何年も無事故を継続していて、15等級までアップしたとしましょう。すると、保険会社を変更しても、同じ等級を引き継いで継続することができるわけです。
ただ、事故を起こして等級がダウンしていた場合は、それも引き継がれてしまいます。保険を解約しても13カ月は記録が残っているので、他の保険会社に変えても分かるようになっています。なので、悪い等級をリセットすることはできません。
保険契約の中断
海外転勤や入院などによって長期間車に乗らないなら、保険契約の中断をすることができます。中断手続きをすることにより、最大10年間は等級を維持できるようです。
ただ、これには厳しい条件が設けられており、やむを得ない事情でないと適用されません。だから、長期の海外旅行などでは許可されないですね。また、保険の満期日までに車を手放しておく必要もあります。
保険会社によって条件が異なるので、契約の中断をしたいのであれば問い合わせてみてください。
保険を使っても等級がダウンしない場合がある!?
先述したように、事故により保険を使うと一気に3等級も下がってしまいます。だから、保険を使わない人もいるという話をしましたよね。
しかし、保険を使ったとしても、等級への影響がない場合があります。
等級がダウンしないケース(ノーカウント事故)
- 傷害保険(搭乗者傷害保険、人身傷害補償保険)のみの支払い
- 弁護士費用特約のみの支払い
- 無保険車傷害保険による支払い
- ファミリーバイク特約のみの支払い
- 個人賠償責任保険のみの支払い
- ロードアシスタンスサービスの利用など
上記のケースだと、ドライバーに責任がないことが多いはずです。もらい事故によって怪我をした場合などは、どうしようもないといえますよね。こういった時に保険を使うことで等級が下がると、契約者にとって不利になってしまいます。
特に、傷害保険のウリは、「過失割合に関係なく損害をすべて補償する」という点にあります。契約者に過失があっても補償されるのがメリットなのに、それで等級が下がるなら意味がありません。
こういった理由から、ノーカウント事故が設定されているわけですね。
このように、絶対に3等級下がるわけではありませんから、すべての事故がダメだとは思わないでください。自動車保険は自分を守るためのものなので、必要な時には使うようにしましょう。