無保険車傷害保険とは何か?自動車保険に入っていない車との事故を補償
ツイート無保険車傷害保険とは、任意保険に加入していない車と事故を起こした時に補償を受けることができる保険です。多くの場合、対人賠償保険に加入すれば、自動付帯されますね。
ほとんどの人が任意保険に入っていますが、全体の15%ほどが無保険というデータがあります。無保険の車と事故をすると相手の自賠責保険から補償を受けることができますが、それでも足りない部分を無保険車傷害保険で補うことができるわけです。
しかし、後遺障害を負ったり、死亡したときにしか補償されません。骨折や打撲などの障害では、保険金が支払われないので注意しましょう。
他にも、仕事を休業することによる損害や車の修理代などの対物賠償も補償されません。後遺障害や死亡という重大な事実にのみ、保険金が支払われることになります。
無保険車傷害保険の補償内容
無保険車傷害保険の限度額は、対人賠償保険で設定している補償の範囲と同額になります。(無制限の場合は、2億円が上限)
相手が任意保険に未加入で自賠責保険のみに入っている場合、自賠責保険で足りない部分を補償してもらえるわけです。
たとえば、自分が後遺障害を負って1億円の損害賠償が確定したとします。すると、自賠責保険から4,000万円が支払われて、差額の6,000万円が無保険車傷害保険から補償されるということですね。
ただし、自分の過失が100%の場合だと、相手が無保険であっても補償の対象外となってしまいます。なので、無謀な運転は控えるように注意しないといけません。
無保険車傷害保険が適用されるのは、以下のような時です。
- 相手が任意保険の対人賠償保険に加入していない
- 年齢条件や運転者限定の設定をしていて保険が支払われない
- 当て逃げをされて相手が分からない
- 相手の保険の補償額の上限が少なすぎる
人身傷害補償保険との違いは?
補償内容を見てみると、人身傷害補償保険と同じように感じますよね。人身傷害補償保険においても、無保険車との事故の補償が含まれています。実際にかかった損害額が補償されるので、内容に大差はないでしょう。
ただ、明確な違いとしては、「過失割合」と「補償範囲」についてです。
人身傷害補償保険は過失割合に係らず全額補償なのに対し、無保険車傷害保険は過失割合の分だけ減額されてしまいます。だから、50:50の事故を起こしてしまった場合、無保険車傷害保険の保険金は半額となるわけです。
また、人身傷害補償保険は、傷害や後遺障害、死亡でも補償されますが、無保険車傷害保険においては後遺症害と死亡のみの補償しかありません。つまり、完治する怪我をしただけだと、無保険車傷害保険では補償されないということですね。
そして、人身傷害補償保険と無保険車傷害保険の両方に加入しているなら、人身傷害補償保険が優先して支払われます。それでも足りない場合は、無保険車傷害保険から差額が支払われることになります。
少し複雑かもしれませんが、両方に加入していれば過不足なく補償を受けられるはずです。
無保険車傷害保険で保険金が出ないケース
無保険の車と事故を起こした時の保険ですが、状況によっては補償の対象外となることがあります。これを知っておかないと、後で後悔するかもしれません。
対象外となる状況は、以下の通りです。
- 故意または重大な過失による事故での死傷
- 無免許や飲酒運転などでの事故
- 自然災害などによる事故
- 正当な権利を有する方の承諾を得ないで搭乗中の事故
- 自殺行為や犯罪行為により本人に生じた傷害
- 業務による運転中の事故
故意の事故や無免許・飲酒運転などは、自業自得なので保険が適用されません。
事故相手が親の車を無断で使用していたら
免許を取ったばかりの若者は、親の車を無断で使用することがあると思います。そういった相手と事故を起こした時は、相手の保険が使えないかもしれません。対人賠償保険に年齢制限や運転者制限などを付けている可能性があるからですね。
こういった場合には、無保険車傷害保険を適用することができます。
相手の自賠責保険から補償が出ますが、それの足りない部分を自分の保険から捻出することができるわけです。免許取立ての若者が暴走するケースはよくあるので、念のために保険に入っておくのが良いですね。
飲酒運転をしていて無保険車を事故を起こしたら
自分が飲酒運転をしていて無保険車と事故を起こしたときには、補償を受けることができません。これは明らかに自分に非がありますから、保険の対象外となるわけですね。
こういった危険運転で、後遺症が残ったり死亡したりするのは割に合わないでしょう。なので、ルールを守って運転を行ってください。
信号待ちの車に追突してしまったら
自分の前方不注意で止まっている車に追突してしまったら、過失割合は100%となってしまいます。こういった場合には、相手が無保険かどうかに関わらず補償を受けることができません。
自分にすべての非がある状況だと、保険の対象外となります。
他にも、センターラインをはみ出したり、信号無視などによる事故も同じです。こういった場合に備えて、自損事故保険に加入しておくことをおススメします。
使用しても等級には影響しない
無保険車傷害保険は、使用したとしても等級が下がることはありません。通常であれば、自動車保険を適用すると3等級のダウンとなります。しかし、無保険車傷害保険に関しては、ノーカウントとなるわけです。
翌年以降に保険料が上がる心配はありませんから、お得な保険だといえます。
ですから、事故相手が無保険だと発覚したら、迷わずに自分の保険を適用してください。後遺障害や死亡の損害賠償は莫大になりますので、しっかりと補償を受けられるようにしましょう。