対人賠償保険とは何か?事故の被害者を守るための自動車保険
ツイート対人賠償保険とは、交通事故で「他人」を死傷させてしまった時に、自賠責保険で足りない部分を補うための保険です。ここでいう他人とは、歩行者や相手の車に乗っている人、自分の車の同乗者などのことを指します。
なので、自分の車の運転者には、補償が下りないので注意しましょう。
他人を死傷させたときには自賠責保険から補償されますが、上限が低いので賠償額に足りないことが多いです。
■自賠責保険での限度額
- 死亡事故の場合:3,000万円まで
- 後遺障害の場合:4,000万円まで
- 怪我の場合:120万円まで
つまり、他人を交通事故で死亡させて1億円の損賠賠償が発生した場合、自賠責では3,000万までしか出ないので7,000万円の不足が生じるわけです。
これほどの賠償を個人で支払うのは、実質的に不可能ですよね。そういった時のために、対人賠償保険があります。
「億単位の損害賠償なんて稀でしょ?」なんて思うかもしれませんが、高額賠償は珍しいことではありません。
- 5億843万円 死亡 平成23年11月1日
- 3億7,829万円 後遺症 平成23年2月18日
- 3億6,756万円 後遺症 平成17年5月17日
このような高額賠償の判決が、全国で発生しているようです。だから、他人事だとは思わないようにしましょう。
対人賠償保険は、自動車保険の中で最重要なものですから必ず加入してください!
対人賠償保険で保険金が出ないケースとは?
先述したように、対人賠償保険とは他人を死傷させたときに補償するための保険です。この「他人」の定義を曖昧にしていると、いざという時に保険金が出ないので注意しましょう。
■対人賠償の対象外となる人
- 被保険者(保険を申し込んだ人)
- 被保険者の家族(父母、配偶者、子供)
- 許諾被保険者(被保険者の許可を得て車を使っている人)
- 被保険者の使用者(被保険者を雇っている人)
これらに当てはまる人が死傷したとしても、保険金は一切出ません。
なので、別途で「搭乗者傷害保険」や「人身傷害補償保険」などに加入する必要があります。
車庫入れで自分の子供を轢いてしまった
自宅のガレージに車を入れている時に、誤って自分の子供を轢いてしまったらどうでしょうか。こういったニュースは、テレビでも見ることが多いですよね。
自分の子供は「被保険者の家族」に含まれるので、保険金は出ません。なので、怪我の治療費などは、すべて自腹で支払う必要があります。万が一、死亡させてしまったら、何の補償もないので目も当てられないでしょう。
だから、小さな子供がいる家庭では、十分に気を付けてください。
母親を駅まで送る途中に単独事故を起こしてしまった
最寄りの駅まで、母親を送迎するというケースも多いと思います。こういった時に事故を起こして怪我をしたら、保険金を受け取ることはできません。
母親も「被保険者の家族」に該当するため、対人賠償保険の対象外となるからです。
そのため、家族を乗せて運転をするときには、気を抜かないようにしましょう。
友達に運転を代わってもらって事故を起こした
車で長距離を走る場合、途中で友達に運転を代わってもらうケースがあると思います。この時に事故を起こしてしまうと、補償の対象外となります。
運転している友達は「許諾被保険者」に該当しますし、自分は「被保険者」だからです。
だから、友達に運転させるときには、注意してください。
保険金は過失割合によって決まる
対人賠償保険で支払われる保険金は、「過失割合」によって決定されます。過失割合とは、簡単に言うと「どれだけ悪いか」ということです。
たとえば、AとBの車が交差点で出合い頭に衝突したとしましょう。この場合、どちらかが100%悪いということにはなりません。Aの車にも非があるでしょうし、Bの車だって悪い所があるはずです。
なので、Aの車は一旦停止を無視したから70%の過失、Bの車は前方不注意で30%の過失などと過失の割合を決めます。その結果、Aの車は相手の損害の70%を賠償し、Bの車は損害の30%を賠償するという形となるわけです。
では、実際に支払う金額がどうなるのかというと、Aの車の運転者が大怪我をして500万円の治療費が掛かるとします。すると、Bの過失は30%ですから賠償額は150万円となりますね。
そして、自賠責保険から120万円が補償されるので、対人賠償保険からは30万円の保険金が出ることになります。
一方、Bの治療費も500万円だった場合、Aの過失は70%なので350万円の賠償となります。自賠責から120万円の補償が出て、対人賠償保険からは230万円の保険金が支払われるわけです。
大きな事故になるほど損害賠償も増えます。だから、対人賠償保険のありがたみを感じられるようになるでしょう。すごく大切な保険ですから、絶対に加入しておいてください。