交通事故の示談交渉の流れとは?
ツイート交通事故に遭って加害者側の保険会社から保険金を受け取るためには、示談交渉を行う必要があります。
保険会社の言いなりになっていると、保険金を安く叩かれてしまうでしょう。なので、自分が納得できる保険金を受け取ることができるように、しっかりと交渉をしないといけません。
そもそも示談交渉とは、お互いに納得できるポイントを見つけて争いを止めるための約束のことを指します。そのため、双方にとってメリットがあるように話をまとめる必要があるわけです。
一度、示談が成立してしまうと、後から新たにお金を請求することができません。だから、ちゃんと納得できる示談金を回収できるようにしましょう。
示談が成立するまでの流れ
いつから示談を始めるのか?
交通事故に遭ったとしても、すぐに示談交渉が出来るわけではありません。
具体的な損害額が判明しなければ、交渉の余地が無いからですね。なので、示談交渉を始めるべき時期を把握しておくようにしましょう。
死亡事故の場合
被害者が死亡した場合だと、多くの損害額はすぐに計算できるはずです。「死亡慰謝料」や「死亡逸失利益」などを請求することができます。
ただ、葬儀費用に関しては、葬式が終わるまで分かりません。だから、葬儀がすべて完了してからが、示談交渉を始める時期だといえますね。
傷害事故の場合
傷害事故の被害に遭った時には、後遺障害等級申請を行うかどうかが重要です。
後遺障害等級の申請をしないなら、治療が終わって治療費が確定した段階で示談交渉を始めることができます。
一方、後遺障害等級の申請をするのであれば、等級の確定や非該当などが決まってからが示談交渉を始めるタイミングですね。
損害額を計算する
まずは、実際にどれほどの損害を受けたのかを計算しましょう。
示談金の算定基準としては、「任意保険会社の基準」と「裁判所・弁護士の基準」とで金額が異なります。
「裁判所・弁護士の基準」の方が高額なので、そちらの基準で損害額を計算しましょう。
日弁連交通事故相談センターが発行している 「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(赤い本)を読めば、東京地裁での賠償額の判例を調べることができます。
損害額の計算に必要な書類は、以下の通りです。
- 診断書
- 診療報酬明細書
- 後遺障害診断書
- 後遺障害等級認定票
- 各種費用の請求書・領収書
「診断書」と「診療報酬明細書」を見れば、通院や入院の日数、症状や治療内容などを確認することができます。なので、傷害慰謝料や治療費を算定することが可能ですね。
また、慰謝料の増額を主張するときにも、これらの書類を提出すれば根拠となります。
そして、「後遺障害診断書」や「後遺障害等級認定票」は、後遺障害の内容や後遺障害等級の証明になる書類です。後遺傷害慰謝料の請求に必要ですから、忘れずに用意してください。
後遺障害等級認定票は、損害保険料率算出機構から自賠責保険会社に送付されます。なので、自賠責保険会社に送付を依頼しましょう。
その他、未払い治療費や通院のタクシー代など、請求の必要がある費用は請求書・領収書を保管しておいてください。このような雑費も、示談金の中に含めることができます。
法外な慰謝料を請求しないことが大切!
実際に損害額を計算する時のポイントですが、法律の範囲内で最も高額の金額で計算することが大切です。
交渉する前から妥協しても意味がありませんし、初回の提示額は大きいほど得だといえます。保険会社が金額に納得できないなら、そこから交渉して金額を調整すれば良いわけです。なので、最初は目一杯の金額を提示してください。
ただし、あまりに法外な金額を請求すると、保険会社が交渉に応じてくれなくなります。弁護士を立てて裁判に持ち込まれたりするので、不利になってしまう可能性が高いでしょう。
ですから、法律の範囲内で損害額を計算することを覚えておきましょう。
実際に請求できる費用に関しては、以下を参考にしてください。
傷害事故の場合
治療・入院費 | 治療や入院にかかる費用。 |
---|---|
看護料 | 重傷を負って看護が必要になった時の費用。 |
入院雑費 | 入院中の日用品や電話代などの費用。 |
通院交通費 | 通院にかかった交通費。 |
その他の雑費 | 介護用のベッドや怪我で留年した時の学費など。 |
休業損害 | 仕事を休むことで得られなかった給料の補償。 |
傷害慰謝料 | 怪我の痛みや入通院による精神的苦痛を補償。 |
後遺傷害慰謝料 | 後遺障害等級が認定された場合に請求する。 |
逸失利益 |
死亡事故の場合
治療費 | 事故の後、しばらく入院していた場合に請求できる。 |
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看護料 | |
入院雑費 | |
休業損害 | |
傷害慰謝料 | |
葬儀関係費用 | 最大150万円 |
死亡慰謝料 | 残された家族に対する精神的苦痛の補償。 |
死亡逸失利益 | 生きていれば、将来的に得られたはずの利益を補償。 |
示談案の提示
具体的な損害額を計算したなら、その内訳を書面にして保険会社に提出しましょう。口頭よりも書面の方が、スムーズに交渉できることが多いです。
保険会社の担当者も上司に相談して決裁をもらうので、書面の方が色々と都合が良いわけですね。
そして、示談案を提示するときには、返答の期限を設けるようにしてください。「○月○日までに返事を下さい」と言っておけば、連絡を先延ばしにされることはありません。
保険会社の担当者は、複数の案件を抱えているので、期限を区切らないと後回しにされる可能性があります。返事が遅れるようであれば、連絡をもらえるように伝えておいてください。
交渉
保険会社に示談案を提示すれば、何らかの返答があるはずです。
自分の意見が認められれば示談が成立しますし、保険会社からの同意が得られないなら交渉をすることになります。
交渉をまとめるポイントとしては、「どこまで譲歩できるか」というラインを明確にすることです。
多くの場合、自分の主張が全面的に認められることはありません。被害者は出来るだけ多くの保険金が欲しいでしょうし、保険会社としては保険金が少ないことを望むからです。
両者の目的が異なるわけですから、すぐに交渉が成立することは無いわけですね。
この時に、自分の要求を押し通そうとしても、全くの逆効果となります。裁判になってしまうと、費用や労力が掛かってしまいますし、余計な時間を使ってしまいます。
だから、ある程度は譲歩した方が、すぐに交渉が成立してメリットがあるわけです。
ですので、譲歩できるラインを決めておいて、多少のマイナスは受け入れるようにしましょう。
示談書を交わす
交渉が成立すると、保険会社が示談書を作成して送付してくれます。
示談書とは、示談で取り交わした内容が記載されており、実際に支払われる示談金が書かれている書類です。
内容を確認して、問題が無ければ署名・捺印して返送してください。そうすれば、数週間後には、指定口座に示談金が入金されるはずです。
示談書の内容で確認するべきなのが、以下の2つです。
- 最終の支払い金額
- 後遺傷害慰謝料の処遇
示談書の内容には、色々な金額が記載されています。主なものは、以下の通りですね。
- 全体的な損害の金額
- 過失相殺額
- 既払い保険金
- 最終の支払い金額
全体的な損害額から、過失相殺額と既払い保険金を差し引いて、最終の支払い金額を受け取れるという内容になっていないといけません。
ここでの計算が間違ってるといけないので、自分でも計算をしておきましょう。
そして、後遺傷害慰謝料の取り決めなども重要です。先に傷害慰謝料のみの示談をする場合には、後で後遺障害慰謝料の示談も行うという条項を入れてもらってください。
先述の通り、示談が成立すると、新たにお金を請求できません。なので、後遺障害の示談が成立していないなら、その交渉の余地も残しておく必要があります。
交渉がまとまらないなら
自分の要求と保険会社の提示額に差がありすぎる場合、示談交渉は成立しません。
どうしても自分が納得できないならば、裁判などの法的措置を取る必要があります。お金と時間が掛かってしまいますが、それでも良いのなら検討してみると良いでしょう。
示談を斡旋してくれる「ADR機関」もありますし、「弁護士費用担保特約」といった自動車保険の特約を使うこともできます。
なので、そういった手段を使って、自分の納得できる保険金を獲得できるようにしてください。
示談の交渉については、以下のページを参考にすると良いでしょう。