自賠責保険の請求方法と流れについて
ツイート事故相手が任意保険に加入していれば、保険会社は自賠責保険と任意保険の書類作成から保険金の支払いまでを一緒に行ってくれます。なので、被害者は面倒な手続きをする必要はありません。これを「任意一括払請求」と呼びます。
しかし、相手が自賠責保険しか加入していないなら、書類の準備や申請方法がややこしくなります。具体的には、「加害者請求」と「被害者請求」の2通りの請求方法を行う必要がありますね。
ここでは、自賠責保険の請求方法について紹介をします。
加害者請求について
加害者が被害者に損害賠償を支払った後に、自賠責保険に保険金を請求する方法。自動車損害賠償保障法15条で規定されているので、「15条請求」と呼ばれることもあります。
被害者に賠償金を支払っていることが前提で、治療費などの領収書を保険会社に提出しなくてはいけません。
示談が成立していなくても、治療費を支払うごとに保険金を請求することができます。ただし、請求期限は賠償金を支払ってから3年以内となりますね。
必要書類
- 保険金支払請求書
- 交通事故証明書
- 医師の診断書
- 事故発生状況報告書
- 診療報酬明細書
- 加害者の支払いを証明する書類(領収書など)
- 示談書(示談が成立している場合)
- 戸籍謄本(被害者が死亡した場合)
手続きの流れ
- 被害者に対して治療費などの損害賠償を支払う
- 必要書類を揃えて、自賠責の保険会社に保険金の請求をする
- 損害保険料率算出機構による事故の調査や損害額の調査が行われる
- 保険会社は調査結果を元に支払額を決定する
- 保険金が支払われる
被害者請求について
被害者から直接、加害者の自賠責保険に賠償請求する方法。加害者に賠償金の支払い能力が無かったり、責任を認めずに保険の手続きをしてくれない場合に行うことができる方法です。
自動車損害賠償保障法16条で規定されているので、「16条請求」と呼ばれることもあります。
請求期限は、3年以内となります。傷害の場合は事故の発生日、後遺障害の場合は症状固定日、死亡の場合は死亡日から請求することができます。
必要書類
- 損害賠償金支払請求書
- 交通事故証明書
- 医師の診断書または死亡診断書
- 事故発生状況報告書
- 診療報酬明細書
- 通院交通費明細書
- 後遺障害診断書
- 戸籍謄本(被害者が死亡した場合)
手続きの流れ
- 被害者自身が必要書類を揃えて、加害者の保険会社に提出する
- 損害保険料率算出機構による事故の調査や損害額の調査が行われる
- 保険会社は調査結果を元に支払額を決定する
- 保険金が支払われる
仮渡金制度について
保険金の支払いには時間が掛かるので、当面の生活費や治療費が必要となりますよね。貯蓄が無くて経済的に厳しい場合には、「仮渡金」を請求することができます。傷害の度合いによって、一定額を前金で受け取ることができるわけです。
ただ、本請求の時には、受け取った仮渡金が差し引かれて支払われます。請求から1週間程度で支払われますから、早目に請求しておきましょう。
被害者請求のメリット・デメリット
被害者請求は、全ての手続きを自分が行わないといけないというデメリットがありますね。特に、診断書などの書類を集めるのは、非常に手間がかかるでしょう。レントゲンやMRIなどを撮影するときには、病院側に画像を用意してもらうようにしてください。
後は、治療費や病院までのタクシー代など、掛かった費用の領収書なども取っておく必要があります。
ただ、被害者請求にはメリットもあります。それは、後遺障害の認定で有利になりやすいということです。任意一括払請求の場合だと、最低限の書類だけで審査されてしまいます。だから、後遺障害等級が低く認定される可能性があるわけです。
一方、被害者請求であれば、自分が有利になる書類をいくらでも提出することができます。なので、高い後遺障害等級になりやすく、高額の保険金を受け取れる可能性が高いです。
後遺障害の認定が決まると、示談が成立していなくても等級に応じた保険金の支払いを受けることができます。
被害者請求は面倒かもしれませんが、受け取れる保険金が大幅にアップするかもしれません。なので、後遺障害の等級認定に関しては、入念に書類を集めることをおススメします。